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BlueAI セキュリティ

ガイド・AI と新しい攻撃

生成AI の社内ガイドライン ひな形つき。中小企業が決めておくこと

社員が生成 AI を使い始めたら、まず決まりを1枚作ります。日本ディープラーニング協会、総務省と経済産業省、デジタル庁、個人情報保護委員会、文化庁、東京都、IPA の資料を読み比べ、どれにも出てくる項目から中小企業向けのひな形を作りました。

要点

  • 先に決める3つ 社内ガイドラインでは、使ってよい AI サービスの一覧、入力してはいけない情報、出力の事実と権利の確かめ方の3つを先に決めます。
  • 根拠 この3つは、AI 事業者ガイドライン(総務省・経済産業省)、個人情報保護委員会の注意喚起、文化庁のチェックリストなど、読み比べた公的な資料の多くに共通して出てきます。
  • ひな形 このページの11条のひな形は BlueAI が資料をもとに書いたもので、【】の中を自社に合わせて書き換えれば、そのまま社内の決まりの下書きに使えます。

最終確認日 (出典はページの最後)

なぜ社内ガイドラインが要るのか

IPA は「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向け 3 位に「AI の利用をめぐるサイバーリスク」を初めて選び、対策の最初に、未許可の AI サービスの利用の禁止と、AI の利用規定の整備を挙げています。決まりがないと、社員が個人のアカウントで AI を使い、会社がそれを把握できないことが起こりえます(シャドーAI)。

文化庁のチェックリストも、AI を使う会社に、著作権侵害を起こさない使い方のための社内ルールを作るよう求めています。総務省と経済産業省の AI 事業者ガイドラインは、AI を使う事業者に、個人情報や機密情報を不適切に入力しないこと、提供者の規約を守ることを求めています。

先に決める 3 つ

ガイドラインの中身は多くても、要になるのは、どの AI を使うか、何を入れないか、出てきたものをどう確かめるか、の 3 つです。

010203123使ってよい AI会社契約の AI を一覧にする入力する情報個人情報と機密は入れない出力の使い方事実と権利を確かめてから使う
  1. 1
    決める使ってよい AI

    使ってよい AI サービスを一覧にし、それ以外は申請して許可を受けてから使う。学習に使わない設定と多要素認証を有効にする。

  2. 2
    入れない入力する情報

    顧客や従業員の個人情報、取引先から預かった秘密、自社の機密、パスワードは入力しない。

  3. 3
    確かめる出力の使い方

    数字や根拠を元の資料で確かめ、社外に出す前に著作物や商標に似ていないかを調べ、指示と出力を記録する。

  1. 1
    決める使ってよい AI

    使ってよい AI サービスを一覧にし、それ以外は申請して許可を受けてから使う。学習に使わない設定と多要素認証を有効にする。

  2. 2
    入れない入力する情報

    顧客や従業員の個人情報、取引先から預かった秘密、自社の機密、パスワードは入力しない。

  3. 3
    確かめる出力の使い方

    数字や根拠を元の資料で確かめ、社外に出す前に著作物や商標に似ていないかを調べ、指示と出力を記録する。

ひな形の各条と、根拠にした資料

7 つの発行元の資料を読み比べ、複数の資料に出てくる項目をひな形の条にしました。デジタル庁と東京都の資料は行政の職員向けですが、書き方の実例として参考にしています。

ひな形の条決めること根拠にした資料
第2条 使ってよい AI サービス使ってよいサービスの一覧と、それ以外を使うときの申請と許可日本ディープラーニング協会(利用してよいサービスを列挙する方式を推奨)、AI 事業者ガイドライン、デジタル庁、東京都、IPA
第3条 アカウントと設定会社のアカウントだけを使う。学習に使わない設定。多要素認証IPA(個人アカウントでの業務利用の制限、オプトアウト設定の徹底、多要素認証の徹底)、東京都(私物端末での業務利用の禁止)
第4条 使ってはいけない用途AI を使わない、または AI だけで決めない業務日本ディープラーニング協会、IPA の導入・運用ガイドライン(利用制限に関する項目)
第5条 入力してはいけない情報個人情報、取引先の秘密、自社の機密、認証情報、似たものを作る目的での他人の著作物個人情報保護委員会、AI 事業者ガイドライン、日本ディープラーニング協会、文化庁(作品名などの入力は依拠性が認められやすくなる事情)、デジタル庁、東京都
第6条 出力の確認と使い方事実の確認、公開前の類似の確認、AI を使ったことの明記、人による最終判断文化庁(利用前に既存の著作物と似ていないかを確認。侵害かどうかは類似性と依拠性で判断)、東京都、デジタル庁、AI 事業者ガイドライン、IPA。似ているときに使わない運用は当社の提案
第7条 記録社外に出す成果物の、使ったサービス、指示、出力を残す文化庁(生成の過程を確認できる状態にしておく)、デジタル庁、東京都
第8条 AI エージェントと外部連携権限を必要な範囲にし、取り消しにくい操作は人が承認するプロンプトインジェクション対策の出典(OWASP、Microsoft、英国 NCSC など)
第9条 事故と相談報告先と、停止、連絡、原因の確認、再発防止文化庁(侵害が起きたときの対応をあらかじめ検討)、デジタル庁、IPA
第10条、第11条 教育、見直し、違反時講習、定期の見直し、違反時の扱いIPA(講習、規程違反時の対応の明確化)、文化庁(従業員への著作権の教育)、東京都(違反は懲戒の対象となる場合があると明記)

ひな形

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ひな形

生成AI 利用ガイドライン(ひな形)

このひな形は、BlueAI セキュリティが公的機関と業界団体の資料をもとに作成したものです。【】の中を自社に合わせて書き換え、既存の情報セキュリティの規程と矛盾しないよう調整してから使ってください。法的な判断が要る点は、専門家に確認してください。

第1条 目的

  1. このガイドラインは、【会社名】(以下「当社」)の役員と従業員、【業務委託先】が、業務で生成 AI を安全に使うための決まりを定めます。
  2. 生成 AI の出力は、使った人が内容を確かめ、【上長】の確認を経てから業務に使います。AI の出力だけで会社の判断をしません。

第2条 使ってよい AI サービス

  1. 業務で使ってよい生成 AI は、次の一覧にあるものだけです。【サービス名、契約の種類、使ってよい部署】
  2. 一覧にない AI サービス(ブラウザの拡張機能、AI 機能つきの外部アプリを含む)を業務で使いたいときは、【担当部署】に申請し、許可を受けてから使います。
  3. 【担当部署】は、許可の前に、利用規約とプライバシーポリシーを読み、入力したデータが AI の学習に使われるかどうか、データがどの国で保存されるかを確認します。

第3条 アカウントと設定

  1. 業務では、当社が契約したアカウントだけを使います。個人で契約したアカウント、私物の端末での業務利用はしません。
  2. 入力したデータを学習に使わない設定(オプトアウト)がある場合は、必ず有効にします。
  3. アカウントには多要素認証を設定し、パスワードを他の人と共有しません。

第4条 使ってはいけない用途

  1. 【例 人事評価や採用の合否を AI の出力だけで決めること】
  2. 【例 顧客との契約内容を AI の出力だけで確定すること】
  3. 法令や公序良俗に反する用途、AI サービスの利用規約が禁じる用途には使いません。

第5条 入力してはいけない情報

  1. 顧客や従業員の個人情報。ただし、入力したデータを学習などに使わないことを【担当部署】が確認したサービスで、利用目的の範囲内で使う場合は、【担当部署】の許可を受けて入力できます。
  2. 取引先から秘密保持の約束のもとで受け取った情報。
  3. 当社の機密情報(【未公開の財務情報、技術情報、人事情報、営業秘密など】)。
  4. パスワード、API キーなどの認証情報。
  5. 他人の著作物、作家名、作品名、キャラクター名などを、それに似たものを作る目的で入力すること(当社の決まり。文化庁は、作品名などの入力は既存の著作物を知っていたことを推認させる事情になるとしています)。

第6条 出力の確認と使い方

  1. AI の出力には誤り(事実と異なる内容)が含まれることがあります。数字、固有名詞、根拠は、元の資料で確かめてから使います。
  2. 出力を社外に出す文書、ウェブ、広告に使う前に、既存の著作物、登録商標、登録意匠に似ていないかを検索などで確かめます。似ているものが見つかったら、【担当部署】に相談し、使わないか作り直します(当社の慎重な運用です。著作権の侵害かどうかは、似ていることと、元の著作物に基づいていることの両方で判断されます)。
  3. 出力はそのまま使わず、担当者が手を加えて仕上げます。
  4. AI の出力を社外向けに使う場合は、【「生成 AI を使って作成」などと明記する】かどうかを【担当部署】が決めます。
  5. AI の出力を、特定の人の評価の参考にする場合は、その人にそのことを伝え、最後は人が判断します。

第7条 記録

  1. 社外に出す成果物を AI で作ったときは、使ったサービス、入力した指示(プロンプト)、出力を【保存先】に【保存期間】残します。

第8条 AI エージェントと外部連携

  1. メールの送信、ファイルの削除、購入、公開など、取り消しにくい操作を AI に任せる場合は、実行の前に人が内容を確かめて承認する設定にします。
  2. AI に渡す権限と、つなぐ社内データは、仕事に必要な範囲にとどめます。
  3. AI に外部のウェブページ、メール、ファイルを読ませるときは、その中に AI への指示が仕込まれている場合があることを前提に使います。

第9条 事故と相談

  1. 入力してはいけない情報を入力した、出力が他人の権利を侵害しているおそれがある、AI が頼んでいない操作をした、などに気づいたら、すぐに【担当部署と連絡先】に報告します。
  2. 【担当部署】は、利用の停止、関係者への連絡、原因の確認、再発防止を行います。

第10条 教育と見直し

  1. 生成 AI を使う人は、使い始める前と【年1回】、このガイドラインの講習を受けます。
  2. 【担当部署】は、このガイドラインと第2条の一覧を【年1回】と、新しい AI サービスを許可するときに見直します。

第11条 違反したとき

  1. このガイドラインに違反した場合は、【就業規則の定め】に従って対応します。

制定 【制定日】

ひな形を自社の決まりにする手順

  1. 今使っている AI を洗い出す社員に、使っている AI と使い道を申告してもらいます。第2条の一覧の出発点になります。
  2. 契約と設定を確かめる一覧に載せる AI ごとに、利用規約とプライバシーポリシーを読み、入力が学習に使われるか、学習を止める設定があるかを確かめます。個人情報保護委員会と文化庁は、どちらも規約の確認を求めています。
  3. 【】を埋めて、既存の規程とそろえる情報セキュリティの規程(セキュリティポリシー)や就業規則と食い違わないように直します。日本ディープラーニング協会も、既存のデータの方針と整合をとって加筆修正するよう案内しています。
  4. 講習で伝えるIPA は、社内の秘密情報を安易に入力しないこと、AI の出力に誤りがあると理解すること、AI に頼りすぎないことを、講習で伝えるよう挙げています。
  5. 年に一度と、新しい AI を入れるときに見直すAI 事業者ガイドラインは 2026年3月に第1.2版、デジタル庁のガイドラインは 2026年6月に 2.0 版が決まるなど、元の資料も改訂が続いています。

入力してはいけない情報を決めるのは、社員による内部不正だけでなく、悪意のない持ち出しを防ぐためです。入力の履歴が残る AI サービスでは、アカウントが乗っ取られると履歴も読まれるおそれがあるため、認証情報の悪用への備えとして多要素認証を有効にします。AI エージェントを使うなら、プロンプトインジェクションを前提に権限を絞ります。

よくある質問

日本ディープラーニング協会のひな形を、そのまま使ってもよいですか。
日本ディープラーニング協会は、組織内の活用目的に照らして必要な追加や修正を加えて使うよう案内しています。そのまま使うのではなく、自社の規程と合わせて書き換えることが前提です。このページのひな形は、同協会の文面を写したものではなく、複数の資料から BlueAI が書いたものです。
個人情報は、生成 AI に一切入力できませんか。
一律に禁止とまでは決まっていません。個人情報保護委員会は、利用目的の範囲内かを確認すること、本人の同意なく入力するなら提供事業者が機械学習に使わないことなどを十分に確認することを求めています。ひな形では原則として入力せず、確認済みのサービスで許可を受けた場合だけ例外にしています。
AI で作った文章や画像を社外に出すとき、何を確かめればよいですか。
文化庁のチェックリストは、利用の前に既存の著作物と似ていないかをインターネット検索などで確かめることを求めています。似ていなければ、著作権法上の特段の許諾は不要とされています。あわせて、作家名や作品名を指示に入れないこと、指示と生成の過程を記録しておくことも勧めています。
ガイドラインを作ったあと、何をすればよいですか。
講習で伝え、守られているかを確かめます。IPA は、AI の利用規定の整備とあわせて、規程違反時の対応の明確化、通信ログなどでの利用状況の把握、講習の用意を挙げています。

関係するページ

このページが根拠に使っている手口、グループ、事例のページです。

出典

最終確認日 (2026年10月24日)

監修 平原尚樹(株式会社BlueAI 代表取締役CEO、ソフトウェアエンジニア、Google Cloud Architect)