技術者が罪に問われた事件・2018年・無罪
Coinhive事件
Coinhive事件(英語名 Coinhive case)は、自分のサイトを運営していたウェブデザイナーが不正指令電磁的記録保管罪に問われた事件です。2022年1月に最高裁が二審の有罪判決を取り消し、無罪が確定しました。5人の裁判官の全員一致です。
要点
- 立場自分のサイトを運営していたウェブデザイナー
- 問われた罪不正指令電磁的記録保管罪
- 結論2022年1月に最高裁が二審の有罪判決を取り消し、無罪が確定しました。5人の裁判官の全員一致です。
- かかった年数最初の捜査から結論まで約4年
問題とされたこと
自分のサイトの収入源として、閲覧者の同意を得ずに、閲覧者のパソコンで仮想通貨のマイニングの計算をさせるCoinhiveのコードを、サイトのファイルに置いて保管したことが問われました。
経過
2017年10月30日から2022年1月20日までの記録。日付は出典が示す細かさで載せています。
- 2017.10.30
起訴の内容によれば、この日から11月8日まで、サイトのファイルにCoinhiveのコードを置いていた
- 2018.03.28
横浜簡裁から罰金10万円の略式命令を受け、正式な裁判を求める
- 2018.06
同じようにCoinhiveを置いた人の摘発が相次ぎ、10の県警が16人を逮捕や書類送検したと報じられる
- 2019.03.27
横浜地裁が無罪を言い渡す。検察が控訴
- 2020.02.07
東京高裁が一審を取り消し、罰金10万円の有罪とする
- 2022.01.20
最高裁第一小法廷が二審を取り消し、検察の控訴を棄却。無罪が確定
争点
コードが、使う人の意図に反する動き(反意図性)をさせ、しかも不正なもの(不正性)といえるかが争われました。最高裁は、反意図性は一般の使用者が認識すべき動きと実際の動きが違うときに認められ、不正性は社会的に許されないプログラムかどうかで決まると判断の枠組みを示しました。そのうえで、このコードは反意図性はあるものの、閲覧者が気づくほどの影響はなく、広告を表示するプログラムと比べても影響に有意な差はないことなどから、不正性を認めませんでした。
その後
- 最高裁は、サイトの運営者が閲覧を通じて利益を得る仕組みは、サイトによる情報の流通にとって重要だと述べました。
- 弁護人の平野敬弁護士は会見で、最高裁が具体的な解釈を示したことで、警察の行きすぎた取り締まりは減っていくだろうと話しました。
- 千葉大学の西貝吉晃准教授は、これまで反意図性の立証に重きを置いてきた警察や検察は、今後は不正性も詳しく調べる必要があり、捜査機関の越えるべきハードルが上がったとの見方を示しました。
出典
- 令和2年(あ)第457号 不正指令電磁的記録保管被告事件 最高裁判所第一小法廷判決 裁判所 裁判例検索・2022-01-20
- 令和2年(あ)第457号 判決文全文 裁判所 裁判例検索・2022-01-20
- 東京高裁 令和1年(う)第883号 判決 裁判所 裁判例検索・2020-02-07
- 仮想通貨マイニングで10県警が16人を逮捕、書類送検 弁護士ドットコムニュース・2018-06-19
- コインハイブ事件、最高裁で無罪に 男性「心底安堵しています」戦い振り返る 弁護士ドットコムニュース・2022-01-20
- 第二のコインハイブ事件生み出さないためには 弁護人らが最高裁無罪判決振り返る 弁護士ドットコムニュース・2022-02-01
- コインハイブ事件、最高裁無罪を受けた解説 弁護士ドットコムニュース・2022-03-08
最終確認日 (2026年10月24日)
監修 平原尚樹(株式会社BlueAI 代表取締役CEO、ソフトウェアエンジニア、Google Cloud Architect)