株式会社BlueAI は 2026年度 IT導入支援事業者に採択されました 詳しく見る
BlueAI セキュリティ

ガイド・事故への備えと対応

インシデント報告書のテンプレート 書き方と報告先

ランサムウェアや不正アクセス、メールの誤送信が起きたとき、まず要るのは「何が、いつ、どこまで起きたか」を残す記録です。社内への報告、個人情報保護委員会への漏えい等報告、警察への通報で求められることを法令と公的機関の資料から読み、1枚の報告書にまとめられるひな形にしました。

要点

  • 書く項目 報告書には、概要、発覚と発生の日時、対応の経過、被害を受けたシステムと個人データの項目と本人の数、原因、二次被害、報告と通知の状況、再発防止策を書き、わかっていないことは「調査中」と書きます。
  • 委員会への期限 個人データの漏えい等が施行規則第7条の4つの事態に当たれば、知ってから速やかに(目安は概ね3〜5日以内)速報を、30日以内(不正の目的のおそれがある事態は60日以内)に確報を、委員会の報告フォームから出します。
  • 警察 警察への通報に法定の期限はありませんが、警察庁はログを消さないよう機器の電源を落とさず、ランサムノートや通信ログ、システム構成図などを用意して早めに相談するよう求めています。

最終確認日 (出典はページの最後)

報告書は誰のために書くか

インシデントの報告書は、1つの記録から何人もの相手に向けて使います。相手ごとに、求められる項目と期限が違います。

相手決まり期限主な項目出し方
社内(経営者、関係部署)社内の規程すぐ。第一報、続報、最終報と重ねる発覚の日時、起きていること、対応の経過、原因、影響社内の書式(このページのひな形)
個人情報保護委員会個人情報保護法第26条、施行規則第7条、第8条速報は速やかに(目安は概ね3〜5日以内)、確報は30日以内(第7条三号は60日以内)施行規則第8条の9項目委員会の報告フォーム
本人個人情報保護法第26条第2項、施行規則第10条状況に応じて速やかに9項目のうち、概要、個人データの項目、原因、二次被害、その他の5つ本人に連絡。難しければ公表などの代わりの措置
警察法定の義務なし法定の期限なし。早めに被害の事実、保全したログや構成図都道府県警察の窓口、最寄りの警察署、オンラインの受付窓口
IPA、JPCERT/CC任意の届出と相談期限なしウイルス、不正アクセスの状況、システム、ログ各窓口のフォームやメール
委託元、所管の省庁契約や業法契約や業法による契約や業法による契約や業法による

IPA の「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」は、個人情報の漏えいは個人情報保護委員会へ、業法で求められる場合は所管の省庁へ、犯罪の疑いがあれば警察へ、ウイルス感染や不正アクセスは IPA へ届け出るよう案内しています。

書く順番

報告は一度で終わらず、わかったことから重ねていきます。知ってから確報までの流れを並べました。

010203041234社内の第一報知った時点から記録を始める警察への通報法定の期限なし、早めに委員会への速報目安は概ね3〜5日以内委員会への確報30日以内、第7条三号は60日以内
  1. 1
    当日社内の第一報

    発覚の日時、起きていること、した対応を書く。機器の電源は切らずにネットワークから切り離し、ログを残す。

  2. 2
    早めに警察への通報

    都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口か最寄りの警察署へ。ランサムノート、ログ、構成図などを用意する。

  3. 3
    速やかに委員会への速報

    第7条の4つの事態に当たれば、その時点でわかっている内容を報告フォームから出す。

  4. 4
    期限委員会への確報

    9項目をそろえて報告する。わからない項目は、わかりしだい追って報告する。本人への通知と公表もこのころまでに判断する。

  1. 1
    当日社内の第一報

    発覚の日時、起きていること、した対応を書く。機器の電源は切らずにネットワークから切り離し、ログを残す。

  2. 2
    早めに警察への通報

    都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口か最寄りの警察署へ。ランサムノート、ログ、構成図などを用意する。

  3. 3
    速やかに委員会への速報

    第7条の4つの事態に当たれば、その時点でわかっている内容を報告フォームから出す。

  4. 4
    期限委員会への確報

    9項目をそろえて報告する。わからない項目は、わかりしだい追って報告する。本人への通知と公表もこのころまでに判断する。

IPA の手引きは、インシデントの対応で整理しておく事項として、インシデントの分類、事業者、責任者と担当者、発覚の日時、発生の日時、起きている事象、対応の経過、考えられる原因、被害を受けたシステムの状況、システムの構成と運用の状況を挙げています。調査は5W1H の観点で整理するよう勧めています。ひな形はこの順番に、個人情報保護委員会への報告に要る項目と、警察に求められる証拠の欄を加えました。

  1. 基本情報と版第一報、続報、最終報のどれかを書き、作成者と責任者を入れます。
  2. 概要分類、発覚の日時、発生の日時、発見者、起きていること。委員会のガイドラインも、概要に発生日、発覚日、発生した事案、発見者、事実の経過などを書くよう求めています。
  3. 対応の経過時系列で、誰が何をしたか。端末をネットワークから切り離した時刻や、通報した時刻も入れます。
  4. 被害の範囲システム、個人データの項目、本人の数、二次被害。
  5. 委員会への報告に当たるか施行規則第7条の4つの事態に当たるかを確かめます。
  6. 原因いま考えられる原因と、調査でわかった原因を分けて書きます。
  7. システムの構成と運用場所、OS とソフトの版、使っているセキュリティの製品やサービス、構成図。
  8. 保全した証拠ランサムノート、ログ、ディスクイメージ、メモリダンプ、構成図。
  9. 報告と連絡相手ごとの日時と担当。
  10. 再発防止の措置委員会のガイドラインにならい、実施済みと実施予定に分けます。

個人情報保護委員会への漏えい等報告

個人データの漏えい、滅失、毀損(漏えい等)が起きたか、起きたおそれがあり、施行規則第7条の次のどれかに当たると、委員会への報告と本人への通知が要ります。

  1. 要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等(高度な暗号化などの措置をしたものを除く)
  2. 不正に使われると財産の被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等
  3. 不正の目的で行われたおそれがある行為による漏えい等
  4. 本人の数が1,000人を超える漏えい等

委員会は、三号の「不正の目的をもって」行う者には、従業者だけでなく盗難などの第三者も含まれると説明しています。ランサムウェアや不正アクセスで個人データが読まれたおそれがあれば、人数にかかわらず三号に当たりうるということです。

報告する事項は、施行規則第8条の9項目です。

報告する事項(施行規則第8条)本人への通知にも書くか
概要書く
漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある個人データの項目書く
その個人データに係る本人の数書かない
原因書く
二次被害又はそのおそれの有無及びその内容書く
本人への対応の実施状況書かない
公表の実施状況書かない
再発防止のための措置書かない
その他参考となる事項書く

期限は2段です。速報は事態を知ってから速やかにで、委員会のガイドラインは目安を概ね3〜5日以内としています。速報では、その時点で把握している内容を報告すれば足ります。確報は30日以内で、三号の事態(ほかの号にも当たる場合を含む)は60日以内です。知った日を1日目とし、土日と祝日も含めて数えます。速報の時点ですべてを報告できるなら、1回で速報と確報を兼ねられます。

委員会は、報告は報告フォームから行い、Word の報告様式は社内での報告に使う参考資料だとしています。ランサムウェアの事案(2025年10月1日以降)とその他のサイバー攻撃の事案(2026年10月1日以降)による漏えい等は、政府のサイバー攻撃の報告の一元化に沿った共通様式(Excel)を委員会にメールで送って報告することもできます。このページのひな形も、フォームに入れる内容をそろえるための社内の記録です。

警察への通報

警察への通報に法定の期限や様式はありません。それでも「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス」(2023年3月)は、警察への通報や相談を積極的に行うことが望ましく、すべての情報がそろうまで控えるのではなく、早めに連絡することが大事だとしています。

警察庁は、ランサムウェアの被害者に、事案に応じて、ランサムノート、通信ログ、ディスクイメージ、メモリダンプ、システム構成図などの提供を頼んでいます。調査に要るログが消えることがあるため、パソコンやネットワーク機器の電源は落とさないよう求めています。発生の直後はログの保存などだけを頼み、あとから詳しい状況を聞くこともあるとしています。調査の方法は用語集のフォレンジックにあります。

通報先は、住んでいる都道府県の警察のサイバー犯罪相談窓口か最寄りの警察署で、警察庁はオンラインの受付窓口も設けています。

公表するときに書くこと

公表は法律で一律に求められるものではなく、会社が判断します。公表・共有ガイダンスは、公表で示す内容として、攻撃の種類と概要、侵害されたシステムと範囲、侵害の原因(わかっている場合)、発生の日時や侵害の期間、影響の内容と範囲、初動の対応、専門の組織への相談や所管の省庁への報告の状況、影響を受けた人の相談先を挙げています。調査を終えた段階では、攻撃の経緯、対応の経緯、再発防止策、問い合わせ先が加わります。

ガイダンスは、途中の段階で不確かな情報を確定したように伝えると誤解を招くこと、詳しく示しすぎると安全上の危険を高めるおそれがあることにも注意を促しています。アスクルの事例は、第1報から第13報まで報告を重ね、調査結果と強化の取り組みを公表しました。イセトーの事例のように、受託した業務のデータが漏れると、委託元にも報告することになり、報告と通知の相手が増えます。

ひな形

印刷するか .md ファイルをダウンロードして使えます。【】の中を書き換え、版を重ねるたびに複製して残します。

そのまま使える下書きです。Markdown をダウンロード

ひな形だけを印刷するときは、このリンクを開いてからブラウザの印刷を使ってください。ひな形の部分だけが印刷されます。

ひな形

セキュリティインシデント報告書(ひな形)

このひな形は、BlueAI セキュリティが、個人情報の保護に関する法律施行規則第7条と第8条、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)、IPA「中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き」、警察庁の資料、「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス」をもとに作成した社内記録用の書式です。個人情報保護委員会への漏えい等報告は、この書式ではなく、委員会の報告フォームか、ランサムウェアなどのサイバー攻撃の事案では委員会が案内する共通様式(Excel)で行います。【】の中を書き換えて使い、法的な判断が要る点は専門家に確認してください。

1. 報告書の基本情報

項目記入欄
報告書の番号【例 2026-001】
版【第一報 / 続報(第◯報) / 最終報】
作成日時【年月日 時刻】
作成者【所属、氏名】
責任者【所属、氏名】
配布先【経営者、関係部署、委託元など】

2. 概要

項目記入欄
インシデントの分類【情報漏えい / ウイルス感染 / ランサムウェア / 不正アクセス / システム停止 / その他】
発覚日時【インシデントを社内のいずれかの部署が知った日時】
発生日時【調査でわかった発生日時。不明なら「調査中」】
発見者と発見のきっかけ【例 社員が画面の脅迫文に気づいた / 監視サービスから通知があった】
起きていること【表に出ている事柄、被害、影響】
委託元、委託先の関わり【受託した業務に関わる場合は委託元の名称。委託先で起きた場合は委託先の名称】

3. 対応の経過(時系列)

日時誰が何をしたか、何がわかったか
【日時】【氏名】【例 感染した端末を LAN から切り離した。電源は切っていない】
【日時】【氏名】【例 警察署に通報した。受理番号 ◯◯】
【日時】【氏名】【 】

4. 被害の範囲

項目記入欄
被害を受けたシステム【サーバ、端末、クラウドサービスの名前と台数】
漏えい等した(おそれのある)個人データの項目【例 氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号】
本人の数【人数。わからなければ「調査中」と最大の見込み】
個人データ以外の情報【取引先の情報、営業秘密など】
二次被害の有無と内容【例 なりすましメールの報告あり / 確認されていない】
業務への影響【止まった業務、再開の見込み】

5. 個人情報保護委員会への報告に当たるか

施行規則第7条の4つのどれかに当たれば、委員会への報告と本人への通知が要ります。当たるものに ✓ を付けます。

事態当たるか
一 要配慮個人情報(病歴など)を含む個人データの漏えい等(高度な暗号化などの措置をしたものを除く)□
二 不正に使われると財産の被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等(例 クレジットカード番号)□
三 不正の目的で行われたおそれがある行為による漏えい等(例 不正アクセス、ランサムウェア、従業者による持ち出し)□
四 本人の数が1,000人を超える漏えい等□

漏えい等が「発生したおそれ」がある段階でも当たります。

6. 原因

項目記入欄
いま考えられる原因【例 VPN 機器の更新が当たっていなかった / 多要素認証のないアカウントが使われた】
調査でわかった原因【調査会社の報告などで確かめた原因】
侵入経路【わかっている範囲で。不明なら「不明」】

7. システムの構成と運用の状況

項目記入欄
場所【システムの物理的な所在地、クラウドの地域】
OS とソフトウェアの版【 】
セキュリティの製品やサービス【ウイルス対策ソフト、EDR、UTM、監視サービスなど】
構成図【別紙の番号】

8. 保全した証拠

証拠保全したか保管場所
脅迫文(ランサムノート)□【 】
通信ログ、アクセスログ□【 】
ディスクイメージ□【 】
メモリダンプ□【 】
システム構成図□【 】

9. 報告と連絡

相手期限の目安日時担当受付番号など
経営者すぐ【 】【 】【 】
個人情報保護委員会 速報知ってから速やかに(目安は概ね3〜5日以内)【 】【 】【 】
個人情報保護委員会 確報知った日を1日目として30日以内(第7条三号は60日以内)【 】【 】【 】
本人への通知状況に応じて速やかに【 】【 】【 】
警察(都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口、最寄りの警察署)法定の期限なし。早めに【 】【 】【 】
IPA(ウイルス、不正アクセスの届出)法定の期限なし【 】【 】【 】
委託元、取引先契約の定めによる【 】【 】【 】
所管の省庁(業法で求められる場合)業法の定めによる【 】【 】【 】
公表(ウェブサイトなど)社内で決める【 】【 】【 】

本人への通知には、概要、漏えい等した個人データの項目、原因、二次被害のおそれの有無と内容、その他参考になることを書きます(施行規則第10条)。

10. 再発防止の措置

区分措置担当期限
実施済み【例 全アカウントのパスワードを変えた】【 】【 】
実施予定【例 外から入れるアカウントすべてに多要素認証を入れる】【 】【 】

11. その他参考になること

【調査を頼んだ会社、相談した窓口、まだわかっていないこと、次の報告の予定など】

作成日 【年月日】

事故が起きる前に、このひな形の「報告と連絡」の欄に、自社の連絡先と担当者を入れておくと、当日の手間が減ります。体制づくりは用語集のインシデントレスポンスと CSIRT、事業を続ける計画は BCP にまとめています。ランサムウェアで先にやる対策はランサムウェア対策 中小企業が先にやることにあります。

よくある質問

個人情報保護委員会への報告に、このひな形をそのまま出せますか。
出せません。委員会への漏えい等報告は、原則として委員会のホームページの報告フォームに入力して行い、ランサムウェアなどのサイバー攻撃の事案は政府の共通様式(Excel)でも報告できます。委員会が出している Word の様式も社内での報告に使う参考資料とされています。このひな形は社内の記録用で、フォームに入力する内容をそろえるのに使います。
原因がまだわからないうちに報告してよいのですか。
よいです。委員会のガイドラインは、速報ではその時点で把握している内容を報告すれば足りるとしています。確報の時点でも一部がわからなければ、わかっている内容を報告し、判明しだい追って報告します。
確報の30日は、いつから数えますか。
事態を知った日を1日目として数え、土日と祝日も含めます。30日目が土日、祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)に当たるときは、その翌日が期限です。法人では、いずれかの部署が事態を知った時点が基準になります。
漏えいしたかどうか、はっきりしない場合も報告が要りますか。
要ります。施行規則第7条は、漏えい等が発生した場合だけでなく、発生したおそれがある事態も報告の対象にしています。ランサムウェアなど不正の目的で行われたおそれがある行為による漏えい等は、本人の数にかかわらず対象です。
警察に通報すると、被害が公表されますか。
警察庁は、警察から公表を求めることはなく、被害の情報の秘密は守ると説明しています。公表するかどうか、いつ何を公表するかは会社が決めます。

関係するページ

このページが根拠に使っている手口、グループ、事例のページです。

出典

最終確認日 (2026年10月24日)

監修 平原尚樹(株式会社BlueAI 代表取締役CEO、ソフトウェアエンジニア、Google Cloud Architect)